気になった英語問題14 howと埋め込み文 (2019 須磨学園、都立国立)

先日購入した参考書(『お茶の水ゼミナール英語monogrammar vol.3 準動詞』)のP.11に、言語は「単文」「埋め込み文」「付け足し文」の3つの文の種類に分類される、と書かれています。この抽象化は、文法学習においてたいへん有益なものであると感じます。今回はそのうち、中学生が苦手とする「埋め込み文」に関する問題を取り扱います。

私たちはお互いに助け合うことがどれほど大切なことか考える必要があります。
We need to think(① important ② is ③ it ④ each ⑤ help ⑥ how ⑦ to ⑧ other).

こちらは2019 須磨学園の大問7(2)です(実際の出題では、並べ替えたときに3番目と6番目にあたる記号を記します)。前回扱ったセンター試験と同様の考え方をすると、解けるはずです。

まず、選択肢の中に動詞が見つかり、(     )の前にthinkがあることから、We need to think 以下に名詞節が埋め込まれるのではないかと考えます。もしくは今回の場合、和訳がついているので、「お互いに助け合うことがどれほど大切なことか」の部分を作成すると考えてもよいでしょう。

そのあと、

  1. 繋ぎに疑問詞howを使うことに気付く
  2. it is so important to help each otherの so importanthow important へと変形
  3. how importantを名詞節の頭にもってきて、間接疑問の作成

といった流れを経て、We need to think how important it is to help each other.を完成させます。えらく遠回りで面倒にうつるかもしれませんが、こうした変形のしくみをしっかりおさえることはとても重要です。

では、「how+形容詞/副詞」に関する埋め込み文の問題をもう一題見てみましょう。2019年の都立国立より。

So this is another way of using Fibonacci numbers. とあるが,このとき Ken が考えた内容を次のように書き表すとすれば,     の中にどのような英語を入れるのがよいか。本文中の連続する 2 語で答えなさい。

 In a tree, the number of its branches shows Fibonacci numbers. However, in a small plant, only one fraction of Fibonacci numbers may explain how        one leaf and the next leaf grow from each other on the stem.  

実際に本文を読んでみないことには、なんのこっちゃという引用ですね。

本文中の” You may think small plants in this garden and big trees are biologically far away from each other, but both use Fibonacci numbers.” なる箇所より、far away     の中に挿入する……これが正解なのですが、受験生にとってはかなり大変だったのではないかと推測されます。

というのも、試験時間の制約や本文より該当箇所を探す困難さもさることながら(「生物学的なサイズの差異」と「茎から葉がどれぐらいの間隔が開いているか」では、概念としての類似性を見出すのがやや難しい)、そもそも受験生の大半はhow の後ろに2語以上後続するのは、How many [複数形名詞] や How much [不可算名詞] のパターンぐらいしか見たことないでしょうし、How far ~?は知っていてもHow far away ~?なんていう表現は知らないのではないでしょうか。これを機に、far awayのセット感覚を意識できればよいですね。

辞書を引けば、

How far back can you trace your family tree?

あなたはどのぐらいまで家系をさかのぼれますか。

という別な farのセット表現も容易に見つかります。ほかにもHow far off, How far forward, How far along, How far behind, How far across, How far in advance などのパターンがありますし、もちろんこれらの後ろにfrom~などを付け加えることも可能です。

ついでに、howの後ろに2語以上続く場合に関して、もう1点補足。

How much faster can this car run than yours?

この車は君のよりどのくらい速く走れるの。

この例文のように、比較級を修飾する場合には、howではなく、how muchを使うことも知っておくとよいかもしれません。個人的にはこのような比較級交じりの表現を見聞きするたび、The Pop Groupの「For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?」というとても強烈なアルバムを思い出しますね。

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