気になった英語問題3 頻度をあらわす副詞の移動(2019 埼玉)

埼玉県の学校選択問題の3の長文に、以下のような表現があります。

 If water temperatures in summer stay 1℃ higher than they usually are, corals start to turn white.

おおよその意味を把握できる中学生はそこそこいるかと思います。大問2にてstay activeが注にあるため、このstayの使い方は問題ないはず。ただし、areの後ろに何があるのかという点についてはとても難しく、個人的にはなにかの省略と考えるより、大学受験などでおなじみのいわゆるクジラ構文(A whale is no more a fish than a horse is.「馬が魚でないのと同様に、クジラも魚ではない」)などと同様に、than節の内容に自明の前提があると考えるべきかなと思います(こんな話は授業でしませんが)。今回扱うのは、この比較の考え方の難しさではなく、その直前にあるusuallyの置き方についてです。

頻度をあらわす副詞については、多くの場合(言語学でいう「無標」の場合には)、いわゆるnotの位置におくという指導がされるかと思います(または、be動詞の後ろ、一般動詞の前、助動詞の後ろ、といったように個別に指定する)。しかし上記の例では、こうした指導内容とは異なる配置になっています。

この場合、usuallyの後ろのareに強勢が置かれているため、位置が変わったと考えられます。似たような例文としては、以下のものが挙げられます。

  “You should always be polite.”  “I always am.” (安藤貞雄『現代英文法講義』P527)

上記の強勢の説明通り、このやり取りにおけるamの発音はシュワーの(ə)mではなく、æmになります。

公立入試の問題と侮ってはいけません。「なぜ?」はそこらじゅうに転がっているものなのです。

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