考える力を鍛える

昨年より学習指導要領の改訂で小学校の教科書が新しくなりました。
新学習指導要領では、「どのような力を身に付け、それによって何ができるようになるか」まで求められる教育に変わりました。
内閣府のサイトには、これからの時代に育成すべき資質・能力の三つの柱が挙げられています。
発達に応じて、これら三つの柱をそれぞれバランスよくふくらませながら、子供たちが大きく成長していけるようにする役割が期待されており、各教科等の文脈の中で身に付けていく力と、教科横断的に身に付けていく力とを相互に関連付けながら育成していく必要があると明記されています。

その3つの柱とは

1.何を知っているか、何ができるか? → 個別の知識・技能の育成

2.知っていること・できることをどう使うか?→思考力・判断力・表現力の育成

3.どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか?
→主体性・多様性・協働性・学びに向かう力・人間性などの育成

また、 保護者の働きかけがある子供の学力は高いという傾向があります。との記事も載っています。

例えば・・・

□ 学校や友達のこと,地域や社会の出来事など家庭での会話が多い。
□ テレビ,ビデオ,DVDを見る時間などのルールを決めている。
□ テレビゲーム(携帯電話やスマートフォンを使ったゲーム等を含む)をする時間を  限定している。
□ 子供に本や新聞を読むようにすすめている。
□ 子供に最後までやり抜くことの大切さを伝えている。
□ 自分の考えをしっかり伝えられるようになることを重視している。
□ 地域や社会に貢献するなど,人の役に立つ人間になることを重視している。

(平成29年度全国学力・学習状況調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究)

特にこれからの時代に求められる資質・能力は、将来の予測が困難な複雑で変化の激しい社会や、グローバル化が進展する社会に、どのように向き合い、どのような資質・能力を育成していくべきか。また、一人一人が幸福な人生を生きるためには、どのような力を育んでいくべきか。
そのために必要な力こそ「考える力」=「意味を読み取る力」なのでしょう。

小学生を教えていて、何故この子は問題の意味が理解できないのだろう?とか、何故出た答えが明らかに間違っているのに気づかないのだろう?と思うことがよくあります。例えば1000円で買い物をしているのに、おつりが1000円以上でも不思議に思わないなど・・・何が足りないのか?
要因はいろいろあるとは思いますが、自分で考える時間が少ない子はそれに慣れているので不思議に思う力が弱いのかも知れません。
そうなる原因は、我々大人にあると思います。

□ 子供が分からなくなると、すぐにヒントや手助けをしてしまう。

学校も塾も授業時間は限られているし、進めなくてはならないカリキュラムもあります。もっと時間が必要な場合でも時間を区切ったり、すぐにヒントを与えてしまうと、子供達も困ったらヒントがもらえると思ってそれ以上深く考えないのかも知れません。小学生のうちは、答えよりそこまでに向かうプロセスの方が大事なのに、ついついやってしまうことがあります。

□子供が困る前に、先回りして手助けをしてしまう。
けがする前に危ない物をかたづけるとか、先に明日の準備や予定を手伝ってあげるななど。本来 自分ですべきことを自分でやらない(やらせてもらえない)など

□目の前の課題をどうしても優先してしまう。
子供達は自分の出来事や不思議に思った事を聞いて欲しくて、いろいろ話しかけてきます。子供達には場の空気とかは関係ないので思いついた時に声に出すものです。それを今はその時間ではないと頭ごなしに否定しては、この子は何故今そのことについて話したいのかの意図が見えなくなってしまいます。まず、何を話したいのか聞いてあげて、その後に優先順位を教えてあげればよいと思っています。

我々もそうですが、保護者様にはどうしても目に見える成果が判断材料になりがちです。点数が上がらない=成果がない(努力していない)。必ずしもそうとはいえません。そこまでの過程で、後少しの所まで来ているのかも知れません。自分も思い当たることが多く、気をつけなくてはと反省です。子供達はまだまだ年齢的にも幼く、経験値も少ない上、自分で経験して学ぶ事も先にやってもらったり、また話す前に後でと言われ、伝えたいことを遮られれば、そこでも経験値が上がりません。経験値を上げるには当たり前ですが、いろんな事を経験することです。料理でも、掃除でも、お使いでも、読書でも、映画でも、音楽でも、勉強以外にもいっぱい経験出来た子が、その経験を勉強に生かせると思います。また何気ない日常の会話から経験値を上げる事が出来ると思います。大人と何の違和感もなく会話のキャッチボールが出来る子はやはり問題の飲み込みも早く解くスピードも早いようです。会話のキャッチボールは考える力を鍛える上で一番大切な要素です。とはいっても自分も積極的にコミュニケーションをとるタイプではないので、とりあえず聞き上手にはなれるよう努力してみるつもりです。

コメント