何をどこまで覚えるか?地理(地名)編

○都道府県と都道府県庁所在地
 現在の小学4年の社会科教科書には,すべての都道府県と都道府県庁所在地が掲載されており,また,地図帳(「地図帳」も,文部科学省が検定を行っている「教科書」です))も配布されているはずです。学習指導要領では,社会科で,小学3年及び4年で,「47都道府県の名称と位置」を扱うことが定められています。さらに,今回の学習指導要領改訂で,都道府県名に用いられる漢字は,すべて小学4年国語で学習することになりました。
 ですので,小学校を卒業する段階で,都道府県の名称と位置は覚えているはずですし,加えて,2020年度以降に小学4年だった児童は,都道府県名が「漢字で書ける」はず,なのです。

 よく,中学生の生徒には「都道府県名が分からない?小4の担任を恨みなさい」と冗談めかして言うのですが,実際のところ塾講師の立場としては,高校入試のための勉強,あるいは中学2年で日本地理を学習するようになった段階で,都道府県名が怪しい,となると,小学校でちゃんと教えておいてくれよ,と言いたくもなります…

 ただ,たとえ私立専願(入試で社会を必要としない)であっても,いわゆる「進学校」とよばれる高校になりますと,日本史選択者は「旧国名」73カ国の暗記が必須となります。いずれにせよ,都道府県名の名称,都道府県庁所在地名は,漢字で書けるようにしておきましょう。

 個人的には,福島県のいわき市・郡山市,群馬県高崎市,静岡県浜松市,山口県下関市といった,県庁所在地より人口が多い都市や,いくつかの主要な工業都市もおさえておいてほしいかな,と思いますが,高校入試レベルでは,大丈夫だろう,と思います。私立の中高一貫校で,よほど熱心な学校でない限り,地理の時間に日本の地方都市を詳しく扱うことはまずない…ので,数年前,東京大学の二次試験(地理)で地方の工業都市が出題された際は,多くの受験生が混乱したようです。

○世界の国名
 世界には,どのくらいの国があるのでしょうか? 私は,「ざっと200」と答えます。日本政府が「国家」として承認している国は195カ国。それに日本を加えた「196カ国」が,日本政府としての公式見解となります。※ただし,すべての国に日本の大使館が設置されているわけではありません。
 ところが,国際連合の加盟国は193カ国(日本を含む)。これは,日本が国家承認しているバチカン市国,コソボ共和国,クック諸島,ニウエは国連に加盟していません。一方で,正式な国交のない北朝鮮は,国連に加盟しています。
 では,その中で,いくつくらい,覚えなければならないのでしょう?
 私は,「約50」と答えます。一般的な,中学校で使用されているワークブック類で扱われている国の数が,だいたい,これくらいです。

 そんなに多いの?(あるいは,少ないの?),反応はそれぞれでしょう。

 例えば,EUの加盟国数が現在27。もっとも,一番最近に加盟した「クロアチア」の国名を聞いて,どこにあるどんな国なのか,思い浮かべられる人は,少ないでしょう。一方で,EUを離脱したイギリスの形は,日本と同じ島国,地図で簡単に指し示すことができるのではないでしょうか? 妥協して,まあ,ドイツ,フランス,イタリアといったEUの主要国,ほかのヨーロッパの国々として,まずはイギリス。子どもたちが大好きなサーモンのふるさとであるノルウェーあたりを加えて,ついでだから,北欧の3カ国(ノルウェー,スウェーデン(IKEA発祥の地!),フィンランド)もまとめて覚えちゃいましょう。歴史との関係で,ギリシャ,スペイン,ポルトガルも,さっと位置を示せるようにしておきたいですね。
 ASEANの加盟国は,10カ国。なかでも覚えておきたい国として,ざっと挙げれば,シンガポール,タイ,ベトナム,フィリピン(島国であり形が特徴的)。経済成長著しい,マレーシアとインドネシア(区別が難しい生徒も少なくないでしょうが)。
 さらに,我が国との関係が深い国々として,アメリカ合衆国,カナダ,中華人民共和国,大韓民国,オーストラリア,ロシア連邦,モンゴル(中学地理の最初のテストで,「内陸国」の例として頻出)。
 南アメリカ州では,ブラジル,アルゼンチン。チリ(これも,中学地理の最初の単元で,形が特徴的な国,として,イタリアと並んで,ほぼ必ず取り上げられる)。「赤道」に由来する国名を持つ「エクアドル」(これも,中学地理の最初のテストで大定番問題)。さらに,産油国ベネズエラ。OPECの原加盟国の1つですが,中東地域以外の産油国については,なじみが薄いようなので,高得点を狙うのであれば,覚えておきたいところ。
 中東からアフリカにかけては,サウジアラビア,エジプト,南アフリカ共和国。加えて,カカオ豆生産量世界一のコートジボワールと第2位のガーナ。アフリカで人口最大のナイジェリア(2億人を超えています。人口が多いイメージのアフリカですが,国ごとの人口規模は,それほど大きくありません)。野生動物が多く生息し,近年はバラの生産国としても知られるケニア。20世紀初頭のアフリカにおける,唯一の独立国・エチオピアも覚えておきたい。マダガスカル!のネタは…もう覚えてないかな?

 そんなふうに挙げていくと,「50」というのは,案外に,多くない数字なのかな,と思うのですが,いかがでしょうか?

☆部屋には地図を貼ろう!
 今は100円均一のお店で,大判の世界地図や日本地図が簡単に手に入ります。スマホで使える各種アプリもあるようですが,スマホを手にすると,つい,別の方に関心が言ってしまいがち…。というわけで,リビングか勉強部屋に,地図を貼ってみてはいかがでしょうか? 意識はしていなくても,いつも目にしていると,自然に頭に入ってくると思います。
 特に中学受験生は,都道府県の形を問われる問題が入試で頻出ですから,都道府県境をマジックで強調しておくとよいでしょう。

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