オンライン寄席

休日の前に,普段は出来ない,あれをやろう,これもやりたい,と色々と計画を立てるのは楽しいものです。ましてゴールデンウィーク。ところが,生徒のみなさんにはお話したような事情で,文字通りのstay home(引きこもり?)を余儀なくされてしまい…。

そんな連休中,唯一,楽しんだのが,浅草演芸ホールの無料動画配信。

知り合いの先生に勧められ,この数年は,半年に一度くらいの割合で寄席(よせ)に出かけています。寄席は,落語をはじめ,漫才,マジック(手品),三味線,紙切り(お客さんのリクエストに応じて,切り絵をする)など,若手からベテランの芸人さんまで,文字通りの「芸」を楽しめる演芸場。東京には,浅草の他に,上野,新宿,池袋に寄席があります。

昨年6月から,いわゆる「千鳥配置」(前後左右で1席ずつ空席を設ける)で営業を再開。しかし,緊急事態宣言の延長と営業自粛要請に伴って,連休中は寄席も営業を休止。そこで苦肉の策?として,オンライン配信,となったわけです。

浅草の寄席は,大きな駅に近い他の寄席と違って,浅草のにぎやかな雰囲気をそのまま持ちこんだ雰囲気。しかも,ホール内での飲食が自由。お客さんは,お酒を飲んだり,おせんべいを食べたりしながら,時には爆笑の渦,時には人情噺にしんみりさせられて。
…と,普段ならにぎやかな客席に,ほとんど誰もいない。さぞかし,やりにくかったことでしょう。ですが。
ネットを通じて画面の前にいるお客さん …ここで笑っているだろう,ここでホロリとしているだろう,もう少し噺を聞きたいと思っているだろう。見えないはずなのに,そんな空気を読みながら,さすがは百戦錬磨の芸人さん。見ている方も,普段は座っているだけだけど,時折観客(視聴者)同士でチャットで突っ込みを入れながら,というのも,新鮮な経験でした。

「去年の今頃は,寄席が閉まって,ずっとヒマでね。やることがないもんですから,ずっと稽古(けいこ)ばかりやっていたら,すっかり落語が上手くなりましたよ。」
…そう,落語家さんたちは,ふだんは一人で,見えないお客さんを相手に,稽古に励んでいるんですよね。

塾に限らず,学校や大学でも,昨年からオンライン授業を併用するようになりました。私も去年の今頃はオンライン授業でしたが,ネットの向こうの生徒を,どこまで意識していただろうか?

まだまだ,修行が必要です。

 

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